ユング心理学においてのペルソナとは、いわゆる周囲の環境に適応するための仮面のようなモノです。
ペルソナ
人が社会生活をスムーズに送るために「場面ごとに求められる役割を演じるための仮面」をペルソナといいます
親、こども、兄弟、友達、上司、部下…etc
人は誰しもその場の人間関係に適したペルソナ(仮面)を作りだし、外部と上手くコミュニケーションを測ろうとします。
そしてペルソナが比較的幼少期に出現することは少なく、何かのきっかけを元に多くは思春期あたりから社会人にかけてどんどんペルソナが増えていきます。
ペルソナとは?
ペルソナの語源はもともとはローマ時代に演者がつけた「仮面」を意味する言葉が語源です。
ペルソナについては、自覚がない人が多いですが、誰しもが無意識にペルソナを使い分けています。
例えば、仕事で誰かと接するときの態度や言動、家で家族に接する態度や言動、これらは違う人が多いと思います。
その場の環境に適切に合わせるために無意識レベルでペルソナを使い分けているわけです。
それぞれの外的人間関係において人は仮面を使い分けスムーズな人間関係を築こうとしています。
外では厳しく頑固な上司が家では子供たちに優しく接して甘やかす姿も、ペルソナを状況により無意識に使い分けているからです。
また、逆に職場や学校では低姿勢の態度で、家に帰ると本来のわがままな自分が出てくるのもペルソナを使い分けています。
それぞれの地位や役割の数だけ人はペルソナを持っています。
人間関係を円滑に運べるように機能する便利なペルソナですが、
実はペルソナが増えれば増えるほどどれが本当の自分かわからなくなることも…
そのためユング心理学では「本当の自分に合っているペルソナ」を知っておくことが自分の心を安定させるために重要としています
理想のペルソナと本当の自分が解離するデメリット
しばしば内向的な人は外向的な人物に憧れたり、外向的な人物がクールな内向型に憧れて、理想のペルソナを作り上げ本来の自分と思い込もうとすることがあります。
役者が様々なキャラクターを演じることができるように、人は自分が好む自分を演じることは可能です。しかし、それを本来の自分とすることは本来の自分と乖離していくことになる為、自分でも気づかないうちにいろいろな不具合が生じます。
元の性格とペルソナがかけ離れた場合主に2つの不具合が生じます
①エネルギーを消耗する
②心の葛藤がでてくる
①元の性格から解離したペルソナは多大なエネルギーを消耗する
本来の自分からかけ離れたペルソナを作り出し演じることは多大なエネルギーを消費します。
元の性格から解離した理想のペルソナを本来の自分であると思い込むことはなおさら自分の負担となります。
わかりやすく例えるなら、右利きの人が左手で食事をしたりモノを書くのと同じようなものです。
ペルソナと元の性格を把握しよう
「自分の理想として作り上げたペルソナ」と「元の性格は全然違うモノ」だと認識しましょう。
また、仕事が終わって家に帰るとドッと疲れが押し寄せてきませんか?
それは仕事中に円滑なコミュニティケーションを測れるように、「無意識に本来の自分と乖離したペルソナを演じる」からです。
内向的な人が外向的に憧れるばかりに、外向チックに振舞い多大なエネルギーを消費することは16性格でもあるあるですね。
本来の自分とペルソナが解離しすぎることはデメリットが多いことを覚えておきましょう。
なんか疲れる…
この振る舞いは、本当に自分の性格に合っているのだろうか?
②元の性格から解離したペルソナと元の性格の心の葛藤
元の性格から解離したペルソナを自分として据え置くと心の中で葛藤が生じます。
例えば、友達と楽しく会話している中でふと「君は明るい人だね」と褒められたとしても無意識レベルで「(いいや、本当の自分はもっと暗い奴なんだ…)」と素直に喜べないこともあります。
または「本当は君はもっと暗い人だよね?」などと心を見透かされたことを言われると、必要以上に心にダメージを負うこともあります。
(本当の自分はもっと暗いのに…)
このような元の自分から解離したペルソナは、褒められようが指摘されようが、どちらに転んでも自分にとってはうれしくない心理状況になるため、心の葛藤を抱きやすくなります。
ペルソナを役に立てる方法
とはいえ、ペルソナはデメリットよりもメリットが多く、本来の自分と切り離していることを意識して使用することで、日常で役に立つことの方が多いです。
むしろペルソナの引き出しが少なすぎると人間関係があまりうまく行きません。
特にペルソナが役に立つシーンと言えばビジネスシーンです。
例えば芸能人や顔出ししているユーチューバーなどはこのペルソナが大いに役に立っています。
ペルソナという仮面をつけていればそれが盾となり、多少の批判や世間からのノイズに対していちいち傷つかなくなりますし、ペルソナは好感度UPには欠かせないからです。
もし素の自分で世間に顔出ししているならば、それは相応の心理的なリスクが伴います。
批判されたり仮に炎上するとダイレクトに素の自分にダメージが入るからです。
また普段人前に出るのが苦手で人見知りな人も、ペルソナという仮面を作り上げれば大きな声で大人数の前でプレゼンテーションをすることも可能ですし、リーダー気質ではないのに管理職を任された人ならリーダーというペルソナを作り上げて演じれば良いです。
内向的な人で外向的なペルソナを演じるのが上手い人は非常に多いです。その分疲労も凄まじいですが…
ペルソナは一度作り上げてしまえば必要に応じてON.OFFするだけでいつでも取り出せるようになります。
それはまぎれもなく自分自身の盾にも武器にもなるので役に立つこと間違いなしです!
まとめ
ペルソナは人が人間社会でスムーズに生きられるように発達させてきた処世術とも言えます。
しかし、元の性格と解離しすぎたペルソナは時に自分の負担になることもあります。
そのため本来の自分の性格を把握したうえでペルソナを上手く使い分けましょう。
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