【本】社会構造の本質を風刺する「動物農場」著:ジョージオーウェル

2023年10月23日

ジョージオーウェルの本の中でも「動物農場」という本が一番印象に残っている本です。

ジョージオーウェルの小説は、一見「15少年漂流記」「スタンドバイミー」のような青春物語のような小説に思わせて、

後半は徐々に世の中の理不尽な仕組みや全体主義などを生々しく小説の中に描写してくるスタイルです。

そしてこの「動物農場」も例に漏れず、かなりえげつない内容になってます。

おそらくあまり日本では有名ではない著者です。ただ「知っている人は知っている」というような感じです。

ちなみにこの本は1945 年にイギリスで出版されたかなり古い本で、日本では戦後GHQの検閲を通った翻訳第一号という歴史がある本です。

70年以上も前に書かれた本とはいえ、その内容は現代社会に通じる内容です。

最初と最後にちょっと人間が登場するくらいで、登場するのはほとんど動物で、

映画の豚が喋るベイブのような作品ですが、中身はほぼロシア革命の話であり、ロシア革命後のソビエト連邦を風刺しています。

初めに出てくる農場主ジョーンズ=ニコライ2世
メージャー爺=マルクス、レーニン
ナポレオン=スターリン
スノーボール=レフ・トロツキー
9匹の犬=ソ連国家保安委員会

登場人物のモデルはこんなとこでしょう。

この物語は他国に限ったことではなく中央集権化している組織やそこらへんにある会社組織でも至る所で通じるものがあります。

いかにしてルールを作る側が巧みに自分たちの都合のいいようにルールを作るかが読み手側がよく理解できるように描かれています。

アニマルファーム「動物農場」との出会い

その本に出会ったのは、大学3年の春頃

大学3回生の前期の必修科目の担任が決まった時、履修科目の担任教師の名前を見て思わず

「ちっ、あいつかよ、、、」

と思わず小さな声で呟いた

なんたって、人の名前が全然覚えられない僕が覚えているくらいだ

その名前を見た瞬間苦々しい記憶が蘇った、2回生の必修科目で一回遅刻しただけで単位を落としやがったあのイギリス人教師の名前がそこにあったからだ

必修科目担当の外国人教師は15人ほどいるはずなのに、必修科目の抽選でまさか15分の1のハズレをまた引き当てるとは、、、

そのイギリス人教師は学内ではかなり厳しく有名な外国人の先生で、授業中日本語を喋っただけで単位を落とすようなかなり厳しい先生だった、

そのため「その教師に当たった学生の半数は単位が取れない」という鬼畜な先生で有名だ…
この先生のおかげでどれだけの生徒が留年したことか…

そして、なにより気に食わない点がもう一つ、この先生はジョージオーウェルをこよなく愛していた

必ず必修科目の授業でジョージオーウェルの英語小説を扱っていたからだ、

正直僕はジョージオーウェルの本があまり好きではなかった、

この先生が好きな著者がジョージオーウェルだからということもあったが、政治や社会風刺的な部分を物語に投影する形式があまり好きではなかったからだ、

なにより「そんな古臭い本はそもそも読む気が起きない」というのが一番の本音だった。

そして前回そのジョージオーウェルの「和名、蠅の王」で僕は単位を落とされた、

たった一回の遅刻でだ!

今回は絶対に単位を落とすことができない、、、なぜならこの単位を落とすと中学の頃からの夢であったこの大学での後期の留学推薦枠に入れなくなるからだ、、、

そんな気持ちでその学内一規律に厳しいイギリス人教師の授業に臨んだ

案の定、この授業で使う教材はジョージオーウェルだ、

「題名が、えーとなになに…「animal farm」動物農場?また変な名前の本を持ってきやがった…」

「動物農場」のあらすじ

※原作の英語版しか読んでいないため日本語訳版と少し変わるかもしれません。多分同じ

この物語は、農場が舞台で、主役である動物たちを通じて政治と社会の問題を浮き彫りにしています。

物語は、人間による搾取と労働に苦しむ動物たちが、動物達の中のリーダーのブタ「オールドメジャ」の呼びかけに触発されて反乱を起こすところから始まります。

このオールドメージャーはいわゆるロシア革命を成功させた「マルクス、レーニン」がモデルになっていると思われます。

彼らは人間(農場主ジョーンズ=旧ロシア帝国皇帝ニコライ2世)から農場を奪い返し、動物だけの平等と自己統制の社会を築こうとします。

初めこそは結束していましたが、「オールドメジャ」の死後、弟子であるブタのナポレオンとスノーボールがリーダーの座を争い、スノーボールは追放されます。

ナポレオン(スターリン)が権力を握った後、次第に自己中心的になり、動物たちの利益よりも自身の権力と快適さを重視するようになります。

彼らが築いた理想的な社会は、次第に崩れていきます。

頭の良いブタ達やそのリーダーであるナポレオンは、自分達の利益になるように他の動物たちを洗脳し、ルールを都合のいいように改変し、徐々にわからないように他の動物たちを己の支配制度の下に置きました。

最終的に、動物たちは最初の虐政を行っていた人間と変わらない状況、いや、もっとひどい状況に置かれることになります。

農場のスローガンも変更され、最初の理念は完全に裏切られます。

物語は、革命や政治の権力闘争がどのようにして堕落し、元の抑圧的な体制と変わらない状態になるかが描かれています。

それでもブタ以外の動物は不満や苦痛を覚えながらも、大きな声を上げずに労働に従事します。

なぜなら、深く本質部分を考えることができず、なにも行動を起こさなかったからです。

「動物農場」は、社会主義の理念と革命の複雑な過程を扱いながら、権力の乱用と個人の欲望が理念を腐敗させる様子を描いています。

この物語は、歴史的な出来事や政治の本質に対する深い洞察を提供しており、物語は、政治の腐敗や理念と現実の対立を通じて、読者に社会の問題を考えさせます。

物語のメッセージ役である「ボクサー」という馬のキャラクター

ボクサーは馬のキャラクターで、力強くて忠実な馬で、動物農場の労働階級の一員として働きます。

彼は非常にまじめで、農場の仕事を辛抱強くこなしました。

特に労働戦士として、建設や重労働に従事し、他の動物たちの尊敬を集めました。

しかし、ボクサーは知性には乏しく、指導者である豚たちの言葉を信じて行動しました。

物語が進むにつれて、動物農場の指導層である豚たちは徐々に権力を自分たちに集中させ、最終的には農場の理念や理想を裏切って人間と同じような振る舞いをするようになります。

それでもボクサーはブタを疑うことはせずにひたむきに労働し続けます。

ルールだから仕方ない」
「与えられた労働をすることは動物たちみんなの繁栄につながる

ボクサーは農場の発展のために一生懸命働き、老いていき、そして体調を崩し始めます。

ボクサーが体調を崩すと、豚たちは彼を「病院に送る」と言ってトラックに乗せ、実際には屠殺場に売り渡します。

愚かな動物たちは彼が「病院に行くことになった」とブタに信じ込まされますが、実際にはボクサーは虚偽の約束に騙されて命を落とすことになります。

✅ ボクサーの生涯は、努力と犠牲を通じて忠実に働く個人が、「権力者の利益や欺瞞で犠牲にされる」というメッセージを表しています。

「動物農場」における不当な支配体制

「動物農場」ではブタ達が3つの支配体制を作ることで巧みに他の動物を都合の良いように操ります。

①教育や情報の操作
最初の反乱が成功し、動物たちが農場を取り戻した後、指導者たちが新しい社会のルールを設定しました。しかし、指導者たちはそのルールを自分たちの都合に合わせて変えたり、隠したりすることで、動物たちの情報を制御していました。教育や情報の制限があったため、多くの動物たちは実際の状況を正しく理解することが難しかったのです。指導者側に都合の良いようにルールを作りました。

②洗脳とプロパガンダ
指導者たちはプロパガンダを駆使して、動物たちを惑わしました。スローガンやスローガンの変更、虚偽の宣伝などを通じて、動物たちの意識が操作され、実際の状況を見抜くことが難しくなりました。特に、ボクサーや他の動物たちのように表層部分のみしか見ない動物達を率先して洗脳させました。意図的に本質を分かりづらくして情報操作をしました。

③恐怖と威圧
指導者たちは恐怖や威圧を使って動物たちを従わせました。リーダーで指導者である豚のナポレオンは、警備員の犬を使って動物たちを脅し、逆らう者を処罰しました。その結果、動物たちが自分の意見を主張することが難しくなりました。恐怖と罰を与え、本質を知っている一部の動物達に反対意見を出しにくくさせました。

✅ そしてこの作品の最も注目すべき部分は、大小あれどこの支配体制は国、組織、会社、あらゆる社会的な構造を持つ組織で多く散見されることです。

理不尽な世の中の仕組み、社会構造を風刺した作品

この物語はロシア革命を風刺するにとどまらず、理不尽な世の中そのものを風刺していると思っています。

人生において「なんとなく理不尽に感じる制度やルールがあるけど、その正体はハッキリとわからない…」そう感じたことある人が多いと思います。

まさにその状態の人たちをジョージオーウェルは不当に労働を強いられているブタ以外の動物達として登場させています。

「なんだか理不尽に感じるけど、でもそれがルールだから仕方ない…」

国や会社、組織は「ルールを作る側が有利になるようなルールを作る」ということです。

もちろんそんな組織ばかりが蔓延っている訳ではありませんが、程度の差はあれどルールを作っている側が有利であることは間違いないです。

そしてルールを作った側は圧倒的な権力を保有することになります。

例えば

税金、年金、相続税、贈与税、社会保険料という名のステルス税、訳の分からないガソリン税、酒税、貧乏な国民から金を巻き上げ

日本のGDPが横ばいの中、日本の税収は2020年から3年連続で過去最高を記録していますよね

資本家と労働者の賃金のマージン比率に偏りが見られるように、世の中ルールを作る側に多くのお金が流れるように設定されています。

例えば、僕はNOTEというプラットフォームで有料記事を売っていますが、売り上げの20%前後が手数料で持っていかれます。それがNOTEというプラットフォームを使う上でのルールです。

過去にアマゾンでわざわざ自分で商標権を取得して自社ブランド商品の出品をしていたことがありますが、アマゾンで商品を販売すれば売上から8~15%も販売手数料がとられます。

また、購入者からの返品はFBA(Amazon倉庫)を使用していれば100%受理され、問答無用で全額返金です。競合他社にわざと星1つをつけられても削除することができません。またAmazonの意に介さないような出品をしてしまうと苦労して集めた高評価レビュー多数の商品ページを容赦なく削除させられたりします。

すべてはAmazonのご機嫌次第というわけですね。Amazonは我々出品者の屍の上にそびえたつ巨大なモールですから

周りを見渡してみて下さい、このように世の中のあらゆるモノゴトはルールを作る側に有利になっていることがわかると思います。

winnyの誤認逮捕などルールを作る側に不都合になりそうな状況になると強引な方法で捕まえることすらあります。

「ルールだから仕方ない…」
「なんだかよくわからないけど、捕まったのは悪いことをしたからだろう…」

そう思わせる、これが世の中の社会構造です。

そのためそのルールは理不尽ではないか?

どういう理由でそのルールが存在していて、多角的に見てそのルールは適切かを自分なりの判断基準を持っておくことが重要です。

搾取されたくなければ、そういったルールや社会構造を的確に把握した上でルールを作る側に回るか、ルールを上手く利用することです。

 「思考停止で何も疑問も持たず、ルールに従うのは危険である」とこの小説は物語を通して警告しています。

「動物農場」についてイギリス人教師が最後に言った「don`t be boxer」

そしてこのイギリス人教師が最後の授業の日に言った言葉を8年程経った今でも鮮明に覚えていて、今でも何度も思い出します。

「don`t be boxer」以下英訳
この本に書かれていることは、もちろんフィクションだ

だって豚や馬が喋るわけないだろう?
しかしこの小説に書かれていることは、現実でも当たり前のように起きている

70年前に書かれた本だから現在の社会の本質は変わっていると思うか?

答えはNoだ


社会の本質は今の今まで全く変わっていない、変わったところと言えばもっと巧みに君たちをだまそうとルールが複雑化したことくらいだ


君が住んでいる国、君がこれから就職するであろう会社、組織、サークル、グループ、
どんな大企業GAFAも含め、どんな組織も必ず自分都合でルールを作る、そしてルールを作る側は自分たちの都合のいいように複雑に作る

だから、君たちはこの本に出てくる動物のように思考停止してはいけない、
常に本質を考えつづけ、都合よく使われるような情報弱者になるな


そして最後に俺からこの言葉を送る

Dont be boxer 君たちは絶対にボクサー(馬)のようになるな」

まさに「女王の教室」や「ドラゴン桜」で聞くようなセリフをこのイギリス人教師は最後の授業で話しました

「特権階級の人たちが楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです。そういう特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでいるか知ってる? 今のままずーっと愚かでいてくれればいいの。」

女王の教室

「搾取される側の人間になりたくなければ、不満ばかりという人生を送りたくなければ、お前ら勉強しろ! バカとブスこそ、東大に行け!勉強はこの国で唯一許された平等だ

ドラゴン桜

※ 「動物農場」は英語の原作しか読んでないため、日本語訳版は翻訳の関係でどう訳されているかは知りませんが、歴史のある本なのでたぶん読むなら日本語訳版でも問題ないでしょう。

-
-